「ネオン・デーモン」
美をテーマにしたサイコホラー
あらすじ
モデルになるために田舎からロスにやってきたジェシーは誰もの釘付けになる美貌を持っていた。瞬く間に一流デザイナーやカメラマンに起用されると、それが他のモデルらの嫉妬を駆り立てる。
感想(ちょっとネタバレ)
いやぁー、恐かったです。
サイコホラーとは知らず、女のどろどろくらいに思っていたので特に。
カンヌ国際映画祭の上映ではブーイングとスタンディングオベーションが入り混じった反応だったそうです。
作風は独特でアーティスティック。
ライトのチカチカが人間のまだ見ぬ狂気(欲望)を引き立たせ、独特の世界観が想像を掻き立てます。
ちなみに15禁です。
テーマは美しさ。
主人公が少女というところもあいまって単純に美しさに執着する女たちというだけではない奥深いところがありました。
大人の女性であればグロくなりそうなところを少女を主人公にすることで危うさみたいなものが陰に含まれたり、無垢の中に女の魔性を覗かせてるところがかえって恐怖を煽るのです。
美しさによる支配というのでしょうか。
美しさの前に人々がひざまづくみたいな。
少女はその危険な甘美に浸っていたようにも見えました。
「ママはわたしをこう呼んでいた 危ない子」
美しさに自分の価値を見出す少女。
監督はその少女を殺します。
それはまるで美の死のようで、少女のいずれ衰えていく美しさの終焉のようでもあり、また美への憧れる女性達の終止符のようでもありました。
エグいシーンもありましたが、尽きることのない欲望が持つ狂気の描写としては効果的でした。
また映画の本質がエグさや怖さに隠されているところもこの映画の魅力。
賛否あるとは思いますが、想像を掻き立てるものがあるということは間違いありません。
モーテルの主人にキアヌ・リーブスが登場します。
主演はエル・ファニング。撮影当時は役と同じ16歳だったそうですが、この方、あどけない子供のような顔をみせることもあれば、クールな女性の顔つきになっている時もあり、ミステリアスな魅力がありました。
インタビュー
美をテーマにした作品。
監督がどういう思いで創られたのか気になっていたのですが、ちょうどそれに答えてくれているインタビュー記事を見つけたので抜粋しました。
Q
―『ネオン・デーモン』の大きなテーマのひとつは"美しさとは何か?"ということにあると思います。映画の中で、若いカメラマンは"美しさは人間の内面にある"と語りますが、ファッション業界の人間は"美は見た目にこそある"と反論し、映画は結局その文脈で進行します。それはある意味、反道徳的な考え方であり、ファッション業界への批判とも受け取れます。それが観客の反発を招いたのではないかと感じましたが。
監督(ニコラス・ウィンディング・レフンー)
"美は人間の内にある"という道徳は理解しているつもりだし、そのとおりだと思う。しかし、見た目の美しさが人間の心をとらえるのも事実だ。見た目が美しくないものに、人間は目を向けるだろうか? その内面がどんなに美しくても、むしろ目を背ける人が多いかもしれない。それを思うと、見た目の美しさを悪ととらえるのは偽善的だ。もちろんファッション業界を批判したつもりはない。僕が興味深いと思うのは、見た目の美しさを絶対的な価値観にしてしまう人がいるということ。『ネオン・デーモン』は、それが狂気にまで発展したものを描いているんだ。(ローリングストーンジャパンより)
美しさに対する人々の執着は、今の世の中ではどんとん膨れ上がっているとも語る監督でした。
監督
ニコラス・ウィンディング・レフン
主なキャスト
エル・ファニング
ジェナ・マローン
ベラ・ヒースコート
アビー・リー
キアヌ・リーブス
U-NEXTでもご覧いただけます
【PR】ビデオオンデマンドで動画を見るならU-NEXT31日間無料トライアルお申込み