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向田邦子「その美と暮らし」より

向田邦子

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向田邦子という人はムダが好きで、ムダを人生の深さにした人だと思います」

そう語るのは向田邦子さんの妹、和子さん。

わたしは初めてこの言葉を目にした時、単純に素敵だなと思いました。

生きることのアイデアに充ち満ちた人

 この本は向田邦子さんの数々のこだわりが掲載されています。それは器だったり、旅だったり・・。洋服はブランド崇拝者ではなく良質の服を品よく着こなしていたという向田さんのコレクションが並びます。目で楽しめる本。

そして妹の和子さんはいいます。

「生きることのアイデアに充ち満ちた人」

 

そうよ、道草、ウフフ

私(邦子)の人生、道草だった・・。

ほくそ笑んでいるだろうか・・。

 

 春は勝手口から

(略)

春キャベツの一夜漬け、揉んだ大根とカブをレモンや柚子で香りを立て、歯ごたえも楽しかった三分漬け・・サラダのように山盛りでお膳にあがり、私たち家族は歯ごたえを競うように音を立てて食べた。

春はいつも勝手口からやって来る。

向田家の春は、包丁とすり鉢の音、そして土の香りとともに始まった。

 

 猫を愛し、

傘が嫌い。

片付けは苦手で、

ちょっとしたお礼を心がける・・。

本は食いしん坊で料理上手だった邦子さんの レシピやお気に入りの器、そして旅の写真がたくさん掲載されています。

その中で印象深いエピソードが。

妹の和子さんによると、幼少の頃、お手伝いをしてきちんとしていないとお父さんの小言が飛んでくる。その時、「わたしがやりました。以後、気をつけます」

例え妹の和子さんがしたことでも姉の邦子はそう答え、そしてそのことで妹に注意したり、嫌味をいったりなんてことは、ただの一度もなかったと言います。

 

対談本「お茶をどうぞ」の中で向田さんは何もしない日は罪悪感が湧くのだと言っていました。そんな日はおかずを質素にして帳尻をあわせるのだそうです。

とても人間味のあるエピソードにわたしはクスッとさせられ、どこかホッとさせられもしていました。

そういうのもひっくるめて向田邦子という人は 退屈なんて知らないんじゃないかしらと思えてしまう。

 目に見えるものも、見えないものも・・。 

綺麗なものも、そうでないものも。

あいかわらず上手く言えないですけど、どこかで楽しんでいる気がしないでもない。

 

―今からでも遅くない、せいぜい見逃していたものを取り戻したい(女の人差し指より)

 

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